The Migratory Bird

自分が渡り鳥だと勘違いしている人間の書き溜め

恋をしてない

今、恋をしてない。

ふとした時に好きだった人のことを思い出して、目の前がぐらつくことはある。

でも、脚の力が抜けて立てなくなることも、感情さえも忘れた顔面を絶え間なく涙が伝うことも、喉が枯れて鼻が詰まって呼吸もできなくなるほど激しく泣くことも、なくなった。

 

私の恋をしていた時間の中で、幸せだった時間より、悲しかった時間の方が、大きな割合を占めていたような気がする。

 

 

私は、人ときちんと向き合えたことがあるんだろうか。

深い絆を感じたことがあるんだろうか。

 

 

 

「とても言えないけど もしかしたらこれは愛かも」という宇多田ヒカルの歌詞に思いを馳せてきた。いつか、自分なりの愛を見つけられるものなのかなだなんて、ぼんやり、期待してきた。

でも、まだ全然わからない。愛。無数の定義、形、解釈、歴史。

もう来月には23歳になるというのに。

 

きっと、自分なりのそれは、一人じゃ見つからないんだろうな。きっともっと、信頼しあったり、理解しあったり、想いあったり、しなきゃ見つからないんだと思う。

人と繋がることって、ひどく難しい。

 

 

私は、人ときちんと向き合えたことがあるんだろうか。

受け入れて、心を開いて、信頼して、信頼されて。

 

 

私ときたら、いつも勝手に傷ついて、わがままを垂れて、困らせて、殻に閉じこもって自分を守って、壁をどんどん厚くして。

私は何をしてきたんだろう。

どうしていつも、一人になるんだろう。

 

一人でいることは、私にとって苦痛なんかじゃない。

友達だって少ないし、恋人もいないし、属してる社会組織もない。だけど随分それにも慣れてきてしまった。

いつも、自ら一人を選んできた。

そばにいたいと思った人ができても、結局一人を選んできた。

もう少し大人になればいいのに。もう少し我慢すればいいのに。

 

 

 

どうして一人を選んでしまうんだろう。

知らない街に住もうとするんだろう。

天気のいい日も、部屋にこもってしまうんだろう。

どうして終わりばかり、探してしまうんだろう。

始まってもいないのに、何を恐れるんだろう。

 

 

幸せな恋愛が何なのかわからない。

だから恋しくない。

幸せだった瞬間もきっとあったけど、真っ黒な絵の具で塗りつぶされて、もう見えなくなってしまった。

このまま、傷つくことなく生きていたい。

 

そうやってまた一人を選んでしまう。

繋がることにこの上ない喜びを見出す日が、いつか、訪れるんだろうか。

始まりや終わりより、生きている見つめあっているその瞬間を大切に思える経験が、待っているんだろうか。

そうなんだろうか。

 

 

 

 

ああ私はやっぱり怖い。

深い絆が深い傷に変わる前に、浅い傷を残して、消えてしまいたいと思う。

何もかも、消してしまいたいと思う。

恋をしていない。だから誰とも、向き合っていない。

今日も一人で、とっても幸せだった。